未承認の医療機器を違法販売か 社長ら逮捕
9月25日 12時14分
国内で承認を受けていない顔のしわ取りなどに効果があるとされる海外の医療機器を美容クリニックに違法に販売していたとして、警察は大阪の医療機器販売会社の社長ら2人を逮捕しました。社長は容疑を否認しているということです。
逮捕されたのは、大阪・住之江区の医療機器販売会社「セイルインターナショナル」の社長、坂口時彦容疑者(62)と、47歳の販売担当の元社員の合わせて2人です。
警察によりますと、2人は去年からことしにかけて、国内では承認されていないアメリカ製の医療機器を3つの美容クリニックに違法に販売したり貸し出したりしたとして、医薬品医療機器法違反の疑いが持たれています。
この機器は電磁波を当てることでしわやたるみを取る効果があるとされ、医師が届け出をして個人で輸入することは認められ美容クリニックで使われていますが、国内で承認を受けずに販売することなどは禁止されています。
警察は会社の別の役員についても逮捕状を取って行方を捜査するとともに、販売の実態解明を進めることにしています。
警察によりますと、坂口社長は「輸入の代行業務をしただけで、販売や貸し出しは別の会社がやっていた」などと容疑を否認しているということです。
未承認の医療機器とは
「サーマクール」はアメリカのメーカーが製造した医療機器で、電磁波を皮膚に当てることで顔のしわやたるみを取れるとされます。一方で繰り返し使うと、皮膚にあてる部品の表面が破損して電磁波が直接皮膚に当たり、やけどをするおそれがあるため使用回数を制限する安全装置が付けられているということです。
日本では医療機器としての承認を受けていませんが、医師が届け出をして個人で輸入し使用することは可能です。
正規の手続きで輸入し10年以上使っているという大阪の医師は「手術をせず気軽にしわやたるみを取ることができるので女性にとても人気がある」と話しています。
厚生労働省が刑事告発
厚生労働省によりますと、サーマクールをめぐっては「不正に流通している」という情報が寄せられたことから、ことし2月と3月に「セイルインターナショナル」に対して立ち入り調査を行いました。その結果、会社が正規の購入を装って輸入し、全国のおよそ120の美容クリニックに違法に販売していた疑いのあることがわかったということです。
また、一部の機器では使用回数を制限するために取り付けられている安全装置が作動しないよう改造するなどして販売し、患者がやけどをしたとされるケースが、これまでに9件報告されているということです。厚生労働省はこうした事態を受けて会社を刑事告発していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170925/k10011155201000.html