ニュースキン・エンタープライジズ・インクは、2014年の有価証券報告書(日本語版)を関東財務局長あて提出し、その全文が公開された。この報告は金融商品取引法によるもので、虚偽の記載があった場合、株主等から損害賠償を受ける可能性がある。したがって、正確な情報が開示されているとみなされる。
ニュースキンの有価証券報告書
以下、主要な点を抜粋する。

2014年の日本における現地通貨建て売上高は2013年に比べて15%減少した。2013年に比べて日本円が米ドルに対して値下がりしたことにより、売上高はさらに7%のマイナスの影響を受けた。売上高の前年との比較は、2013年下半期の「エイジロック TR90」のグローバル期間限定販売(約34百万ドルを生み出した。)から影響を受けた。2014年に行ったこれより小規模の「エイジロック トゥルー フェイス エッセンス ウルトラ」および「TR90」の期間限定地域販売は、日本において約5百万ドルの売上高を生み出した。2014年、日本のセールス・リーダーの数は2013年に比べて7%、アクティブの数は6%減少した。これは、日本の厳しい直接販売環境に関する困難さを反映している。当社は引き続き慎重に日本での販売促進活動を行っており、また現在行っているディストリビューターの教育、訓練および法令順守への取組みに関して規制当局と頻繁に面談している。

さらに、日本では、直接販売業界は引き続き規制当局やメディアの監視を受けている。例えば、他の直接販売会社は過去にスポンサー活動を禁止された。過去数年にわたり、当社は一部の県の規制機関から、当社および当社のディストリビューターに関する一般的問合せや苦情の数についての警告を受け取っている。当社は、日本におけるディストリビューターの法令順守、教育および研修への取組みを強化する対策を実施してきたが、かかる取組みが成功するかは不明である。その結果、政府が当社に対して罰金、活動の停止またはその他の制裁を含む措置を講じたり、当社および直接販売業界が悪い意味でさらにメディアの注目を集めたりする可能性があり、いずれも当社の事業に悪影響を与える可能性がある。当社の2014年の売上高のうち、約12%は日本において生み出された。

当社製品の市場には熾烈な競争がある。当社の経営成績は、将来の市況および競争によって悪影響を受ける可能性がある。競合他社の多くは当社より知名度が高く資金量も大きく、それによって競争上の優位を保つ可能性がある。例えば、ニュースキン製品はブランドの高級小売製品と直接競争している。当社は他の直接販売組織とも競争関係にある。パーソナルケア製品および栄養補助食品の効能を表示することは規制上制限されているので、当社製品と競合他社の製品との差別化には困難が伴い、またパーソナルケア市場および栄養食品市場に参入する競合品により当社の売上高が損なわれる可能性がある。

一方で、懸念材料がなくなって記載が消えた項目がある。2011年の有価証券報告書には次のように記載されていたが、2014年にはなくなっている。
日本における事業が当社の事業に占める割合が高いため、当社の日本における事業の低迷が続けば当社の事業は悪影響を受ける可能性がある。

2011年の当社の売上高のうち約27%は日本で生み出された。日本ではここ数年現地通貨建て売上高が落ち込んでおり、同市場では引き続き困難に直面している。このような落込みは継続または拡大する可能性がある。

これは、全体に占める日本の売り上げ比率が極端に低下したものの、全世界でカバーしたため、もはや日本の売り上げ低下は影響を及ぼさなくなったためである。全体の比率は2011年の27%から2014年は12%と半分以下になっていて、さらに減収の見通しをしている。

また、製品輸入の関税に関して追加査定が決定した。

当社は、いくつかの当社製品にかかる関税の査定に関して、日本の税関当局との間で生じた2件の異なる紛争に関与してきた。2002年10月から2005年7月までの期間について横浜税関が行った関税の追加査定に関連する紛争については、2013年11月、日本の最高裁判所が当社の上告を棄却した。2011年、当社は、紛争対象となっている査定額全額を費用として計上しており、本件は終結した。

この詳細は2010年の有価証券報告書に記載がある。
2002年10月から2005年7月までの期間について横浜税関が行った関税の追加査定に関連するものである。これらの追加査定の総額は消費税回収額控除後で27億円(2010年12月31日現在約33.2百万ドル)であった。当該紛争は、当社が、これらの製品に対して適用される関税の算定に当たって適切な評価方法を用いたかどうかが争点であった。本件における主な法律上の問題は、関連する輸入取引が、当社の外部製造業者と日本子会社との間の売買なのか、あるいは当社の米国子会社と日本子会社との間の売買なのかという点である。当社は1999年、輸入取引が当社の外部製造業者と日本子会社との間の売買に該当するとみなされ、当社が当社の外部製造業者に支払った価格に対して関税が査定されるよう、横浜税関とともに、関連する取引形態の再編に取り組んだ。当社は、横浜税関からの情報と指導をもとに、当社の米国子会社が、買主または売主ではなく日本子会社の代理人としてこれらの製品を購入しているとみなされるよう、これらの議論に基づいて、取引形態および関連当事者間契約を再編した。当社の日本子会社は、関連製品の外部製造業者各社との間で、当社の日本子会社は当該製品の購入者であり、米国子会社は当該製品に関する日本子会社の代理人であると規定する覚書を交わした。当社の日本子会社は、これと同じ代理関係を文書化した覚書を、米国子会社との間でも締結した。当社は、当社の米国子会社が関連製品の買主および売主ではなく代理人であることが、これらの法的文書によって立証されると信じている。横浜税関による関税の追加査定は、当該取引が、取引の法的形態にかかわらず、関税法上、当社の米国子会社と日本子会社との間の売買であるとした同税関の再評価に基づいて行われたものであった。当社は、これらの取引の再評価は法的文書によって裏付けられないと信じている。横浜税関は当該再評価を裏付けるため、いくつかの問題点を上げており、これには当社が所得税の目的上、当該関連取引を当社の米国子会社と日本子会社との間の売買として取り扱っているという事実が含まれる。しかしながら、当社は、当該所得税および振替価格設定に関する規則および規定は異なる基準を適用するものであり、関税問題への関連性はないと信じている。これらの取引に関する法的文書が当社の立場を支持すると信じているため、当社は、財務省による当該追加査定の主張を覆させるため、2006年12月、東京地方裁判所民事部に提訴した。本件の最終審理は2011年2月1日に行われ、裁判所は本件について2011年3月25日に判決を下すと述べた。いずれの当事者もこの判決に対して控訴する権利がある。本件について当社に不利な判決が下された場合、紛争対象となっている査定額全額(33.2百万ドル)の費用計上が必要となる可能性がある。